アスモデウス「陛下」
べリアル「やあ、アスモデウス」
アスモデウス「耳掃除の最中に失礼します、どうしても聞きたい事があるので」
べリアル「…いつもタイミングが悪いなぁ、もういいぞ」
侍女「はっ」

べリアル「あー…すっきりした、なんだアスモデウス」
アスモデウス「…単刀直入に言いましょう、私の屋敷にガチョウが送りつけられる原因を作ったのは貴方ですね?」

アスモデウス
召喚対価・ガチョウ
べリアル
召喚対価・人間

べリアル「自分の失態すら俺のせいと言うのかな?」
アスモデウス「何でも陛下のせいにするほど愚かではありません、アモンと同じにしないで下さい」

アスモデウス「あれから召喚されるたび、屋敷にガチョウが送りつけられるんですよ」
べリアル「いいじゃないか、お前ガチョウ好きだろ?俺なんか生きた人間一人だぜ」
アスモデウス「比べないで下さい、私の屋敷を動物園にする気ですか?」
べリアル「ガチョウを送りつけてくるのは人間だろう?恨むなら人間を恨みたまえ」
アスモデウス「貴方がガチョウを送れば来ると書いたから送り付けてくるんですよ」

べリアル「ああ、俺のせいだな。お前の屋敷がガチョウだらけになったのは俺の責任だ、なぜ謝らなきゃならない?」
アスモデウス「傲慢も極まると潔いですね!実はガチョウはそこまで好きではないと書き足すか
あるいは対価を大幅に書き換えて下さい!!さもないと」
べリアル「さもないと?」
アスモデウス「…やめましょう、手の出る争いなど野蛮極まりない」
べリアル「お前は賢いな、ガチョウは嫌だと言うなら何がいい…魚の肝か?」
アスモデウス「また、人の忌まわしい記憶を抉るようなものを…!」
べリアル「はっはっはっは!嫌ならガチョウ料理の一つでも考えたまえ、下がっていいぞ」
アスモデウス「はっ…」

-パンデモニウム応接間

アスモデウス「ああ…全く陛下は…」

アスモデウス「魚の肝まで送られたら屋敷を氷漬けにしかねませんよ!ん…?」

アスモデウス「…召喚対価について書かれた本?陛下の私物でしょうか、こんな所に置き忘れておられるとは」

アスモデウス「私の召喚対価は指輪にしましょう、これでよし…と」

アスモデウス「ちょうどいい、陛下にも同じ気分を味わっていただきましょうか」

べリアル
召喚対価・泥

アスモデウス「これでよしと、フフフ…楽しみですね」

-

バアル「べリアル様!召喚師が呼び出しているようです」
べリアル「ああ、すぐ行く」

べリアル「俺を呼んだのはだ…わぶっ!?」
召喚師「あれ?対価は用意したんだけどな」
べリアル「誰が魔法陣に泥をぶっかけろなんて言った?」
召喚師「えっ…でも本には」
べリアル「何?」

べリアル「何々…べリアルの召喚対価は、泥だと!?」
召喚師「どうされましたか!?もっと上質な泥が良かったでしょうか!」
べリアル「俺は泥を対価にしろと言った覚えはない…だがまぁ召喚はされたんだ、用は?」
召喚師「はっ!私を宮仕え出来る様にして下さいますか」
べリアル「ほう、地位を望むのか」
召喚師「あの…べリアル様、服に泥が」
べリアル「こんなの魔法で落ちる、すぐには無理だが…一月もすれば宮廷から誘いが来るようにしてやろう」
召喚師「ありがたき幸せ…」
べリアル(いつもならオモチャにしてるんだが、今回はさっさと済ませ帰っちまおう…)

べリアル「ただいまー」
バアル「あれ?べリアル様、随分と早かったですね」
べリアル「確認したいものがあるから早く済ませてきた」
バアル「珍しいですねぇ、よほど嫌な目に遭ったんですか」
べリアル「まあな…愚かだね、先に何があるかも知らず」
バアル「して…確認したいものとは?」
べリアル「対価の書を応接間に置き忘れてた、持ってきて」
バアル「はい!」

べリアル「あ〜やっぱり!書き換えられてる」
バアル「この筆記は…アスモデウスでしょうか?」
べリアル「俺の対価を泥に書き換えるとはいい根性じゃないか…お仕置きが必要だね?」

アスモデウス
召喚対価・砂

べリアル「はっはっは!お砂場遊びでもしてな!」
バアル「べリアル様、泥の部分は私が元に書き換えておきますね」
べリアル「ん、頼んだよ」

バアル「…さて、べリアル様の対価は何でしたかね…確か何かを一つだったような」

べリアル
召喚対価・豚

バアル「これでいいでしょうか…?」

-

アスモデウス「何ですかコレは…」
サキュバスA「わー、砂の城できたー」
サキュバスB「アスモデウス様!見て下さい、砂のオブジェですよ」
アスモデウス「ああ…良かったですね、砂は何処から?」
インキュバス「アスモデウス様の魔法陣から、大規模な召喚だったんですか?」
アスモデウス「氷の大悪魔として一仕事してきたんですが、屋敷が砂漠化しているとは思いませんでしたよ」

インキュバス「どうします?この砂」
アスモデウス「とりあえずプリン君に食べさせましょうか、食べられそうですか?」
ブラッドプリン「………」
アスモデウス「大丈夫そうですね、ゆっくりで十分ですよ」
サキュバスA「今度は砂の家つくろーと」
アスモデウス「…陛下がまた対価を書き換えたようですね、私もじっとしていられません」

アスモデウス「もっと処分に困り、スペースを取るものにしなければ…」

-パンデモニウム内

べリアル「見て見てバアルちゃん、豚だよ!可愛いねぇ」
バアル「え…ええ」
べリアル「豚ってトリュフってキノコを探すんだよー、こんな風に、ね!!」

ガッ

バアル「あ…」
べリアル「バアルちゃん、首の骨砕いといたから持ってって」
バアル「は…はい」
べリアル「俺はいつ対価は豚なんて言ったんだ、またアスモデウスか?」
バアル「…」
べリアル「ま、豚でもいいけど人間がいいね…やっぱり」

ベリアル「あーもう!アスモデウスの野郎…もっと処理に困る対価にしてやろうか!?」
バアル「ベリアル様、あの」
ベリアル「いま忙しいんだよ!」
バアル「…はい」

アスモデウス
召喚対価・セメントブロック
ベリアル
召喚対価・カラーコーン

アスモデウス「流石にカラーコーンは使い道に困る事でしょう」
ベリアル「せいぜい詫びを入れに来るんだな、ふんっ」

‐数日後

ベリアル「俺の部屋は工事現場じゃねぇよぉぉぉ!!」
アスモデウス「誰がセメントブロックが欲しいなんて言いましたかああああ!!」

-更に数日後…

アスモデウス「ごきげんよう陛下、対価の書き換えをしてほしい気にはなりましたか」
ベリアル「お前こそ、ガチョウに砂にセメントにと窮屈だろう?詫びを入れてもいいんだぞ、ん?」
アスモデウス「死んでもお断りいたします、貴方こそカラーコーンを有効活用されていないのですね」
ベリアル「流石にカラーコーンは入らなかったよ」
アスモデウス「しようとしたんですか!?その根性だけは見習いたいですね」
ベリアル「ふはははは!俺の旺盛な知識欲は誰にも踏みにじれぬのだよ!」

ベリアル「…ふぅ、今回ばかりは非を認めてやろう。対価の書き換えを行おうか」
アスモデウス「ガチョウと魚の肝以外で、ですよ」
ベリアル「わかったわかった、テキトーに宝石辺りでいいんじゃないか?」
アスモデウス「…本当はそれも嫌なんですが、ガチョウよりはマシでしょう」
ベリアル「代わりに俺も元の対価に書き換えさせてもらうぞ、この俺を呼ぶには対価が軽すぎる」
アスモデウス「構いませんよ、カラーコーンのある生活はどうでしたか」
ベリアル「最悪だ、もう二度とこんなことがないよう気を付けねばな」
アスモデウス「二度目はないと、そう信じたいですね」
ベリアル「ああ…さてアスモデウス、色欲界の状況は」
バアル「ベリアル様…」
ベリアル「ああバアルちゃん、謁見室には自分で行くからいいよ」
バアル「は、はい」

バアル「ベリアル様…対価を度忘れし、豚と書いたのは私なんです、お許しを…お許しを!」

後日、人間側の書物にアスモデウスとベリアルは時おり奇妙な供物でも召喚されると記されたのは言うまでもない。

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