門番A「アドラメレク様って…忠誠心凄いよな」
門番B「ああ、あの忠誠心はすげぇよな、忠義だけじゃあそこまで出来ないぜ」
門番A「しかし何であんな忠誠心がすげぇんだ?なんか秘密があるのか」
門番B「それなら、ベリアル様が雌馬とやって、その時出来たのがアドラメレク様だと言う噂がだな…」
門番A「…あの人はどんだけ変態なんだよ」
門番B「あり得るのが恐ろしいんだよ…」

ベリアル「おい、赤い風俗通いと緑のメイド服狂」
門番A「…こいつとコンビになった覚えはないすよ」
門番B「何用でしょう?」
ベリアル「アドラメレクは知らないか?」
門番B「いえ、アドラメレク様は来ていませんね」
ベリアル「そうか。ったく…どこ行きやがった?あのふんどし馬は」
門番B「…ふんどし馬」
門番A「それより陛下、話を聞いてくれませんか」
ベリアル「なんだ」

門番A「こいつメイド服が好きすぎてカタログで抜いてるらしいんすよ、そしてメイド服で警備したいとか何とか」
門番B「いつも抜いてるぞ」
門番A「んなもんカミングアウトすんな!!」
ベリアル「メイド服で警備か、いいんじゃねーの?」
門番A「…ゴツい竜人が鎧の上からメイド服着てるんですよ、絵面とか大丈夫ですか?」
ベリアル「どんなメイド服が抜けるんだ?」
門番A「陛下…話、聞いてますか?」

門番B「やはり清楚系ですね、最近は品のないメイド服が出回っていて嘆かわしい限りです」
ベリアル「清楚系か、気が合うな」
門番A「へ…陛下!アドラメレク様なら城内にいるようですし、探しに戻られては」
ベリアル「そうだな…はぁ」
門番B「あ、もう一つ聞きたいことがあるんですが良いですか?」
門番A「ん?他にあったっけ」
ベリアル「どーした?」

門番B「陛下、雌馬とやって出来たのがアドラメレク様だと言う噂は本当ですか?」
門番A「本人に聞くか!?も、申し訳ありませんっ!」
ベリアル「いや、アドラメレクは俺の子供じゃない」
門番B「そ…そうですか」
ベリアル「だが馬とはやったな。馬は良いぞぉ、お前たちも馬とやってみろ」
門番B「………」

門番A「やべぇよ…目がマジだったよ、こぇぇよあの人」
門番B「俺、ベリアル様にそっちの意味で食われたりしないよな?」
門番A「さ…流石にないだろ流石に、俺ちょっと城下で時間潰してくるわ」
門番B「また風俗か?」
門番A「言うな!小一時間で帰るからしっかり見張っとけよ」

-

ベリアル「アドラメレク!アドラメレクはいないか!」

ベリアル「アードーラーメーレークー!!」
アドラメレク「べーリーアールーさーまー!!」

ベリアルが呼ぶ方から、やたらテンションの高い声と共にふんどし一丁の馬男が走ってきた!
ド変態にしか見えない彼こそパンデモニウム上院議長兼、衣装部屋係のアドラメレクである。

アドラメレク「はぁはぁはぁ…べ、べリアル様、なんでしょうか!?」
ベリアル「アドラメレク、さっきまで何処に居た」
アドラメレク「申し訳ありません…先程まで暴食界まで視察に」

アドラメレク「ですがべリアル様の声が聞こえたので、いても立ってもいられず…はぁはぁ」
ベリアル「息を乱すな、呼んだ理由は言わずともわかるだろう」
アドラメレク「ハッ!夜会が近いのでしたね」
ベリアル「ああ、夜会用の服を作ってくれないか」
アドラメレク「わかりました!色は何にいたしまょう?」
ベリアル「ああ…黒を着てみたいんだが、似合いそうか?」
アドラメレク「間違いありません!純白は勿論漆黒も着こなすとは…」
ベリアル「いや、黒はどう着こなせばいいと聞いてるんだ」
アドラメレク「ああ!そうでしたね、べリアル様、貴方に似合う最上の黒を調達して参りますので…」

バアル「陛下!」
ベリアル「バアルちゃん、どうしたの?」
バアル「お取り込み中に失礼します。出来るなら早急に見つけ出してほしい者がいるのですが…」
ベリアル「言ってみろ」
バアル「あの、先日卵から孵った赤ん坊…」
ベリアル「アンフィスだ」
バアル「アンフィスに、乳をやれる悪魔は知りませんか?」

ベリアル「…俺は出ないぞ」
アドラメレク「べリアル様の…」
ベリアル「何を期待している?」
アドラメレク「い、いえ!」
ベリアル「バアルちゃん、おっぱい出る?」
バアル「バカ言わないで下さい」
ベリアル「乳母雇うにも下位魔族ばっかだからなー、指の一本くらい喰われかねんよ」
バアル「…ほんとに母乳なんて出ませんよ、見ればわかるでしょう」

ベリアル「よし、アドラメレク!棚に母乳が出る薬が入ってたろ?今すぐ持ってこい」
バアル「何ですかその怪しい薬は!?」
ベリアル「成分が気になるのかい?サキュバスの血を薄めただけだよ、簡単なうえ強力だ」
バアル「…その口振りだと他にも持ってそうですね、棚の場所を教えていただけますか」
ベリアル「だ、ダメだよ!あそこね、俺のお気に入りなんだから!」
バアル「ダメなものはダメです!」
ベリアル「えぇー!?」
バアル「何がえぇーですか!!ホントに捨てますからね!」

ベリアル「ちぇ…せっかくバアルちゃんを母乳が出る身体にするチャンスだったのに」
バアル「…戻るんですか?」
ベリアル「実例はない」
バアル「やっぱり処分しましょう、危険過ぎます」
ベリアル「そ…そんな!」
バアル「そんなじゃありませんよ!嫌なら変な薬を集めるのはやめて下さい!」

‐数十分後

ベリアル「強欲界へのゴミ捨て日は…下弦の日と、世知辛いねぇ…」
アンフィス「あぷー」
ベリアル「よしよし…ごめんよぉ、バアルちゃんおっぱい出ないって。他ので我慢してくれよ」
アンフィス「むー」
ベリアル「今に見てろよ、これで諦めた訳じゃないからな」

-数百年後

ベリアル「はぁ、揃え直すまで長かった…流石にパンデモニウム全ての棚は捨てられまい」

ブツブツと口にしつつベリアルが香水の瓶に入れる粉末は他の薬品とはわけが違った。
夢魔の中でも上位種のみに生えるとされる「角」を煎じたものだ。
上位夢魔の角は最高級の媚薬や香水の材料となる事で知られており、
艶のいいものや形のいいものは特に高い効き目があると言われている。

ベリアル「これでよし…と、バアルちゃ〜ん」

恐らく私物と思わしき角を躊躇もなくすべて煎じると、ベリアルは満足げに香水の瓶を元の場所へ戻す。
さすが堕神だけあって魔法耐性は並外れている様だが、さすがにここまで強力なものは彼女も耐えられないだろう。

バアル「ああべリアル様、貴方の秘蔵品は見つけ次第こちらで処分しておきましたよ」
ベリアル「それはどうも、捨てようと思ってたんだ」
バアル「べリアル様、何か企んでませんか?嫌がらないなんて怪しい…」
ベリアル「悪巧みはしてないさ、相変わらず赤い化粧が綺麗だね」
バアル「え…私、化粧しませんよ?」
ベリアル「ん?化粧じゃないの?」
バアル「よく化粧と間違われますが、アザなんですよ…これ」

ベリアル「じゃあ…俺以外で、自分用の化粧台を持ってる奴なんていたっけ?」
バアル「アドラメレクがいるではありませんか」
ベリアル「ああ、アドラメレ…」
アドラメレク「べリアル様アァァ!!」
バアル「あ、アドラメレク!どうしましたんですか!?」

アドラメレク「べリアル様アァッ!愛しています!!今晩こそ抱いて下さいいぃっ!!」
ベリアル「あー、ガンギマリって感じだな」
バアル「…べリアル様?」
ベリアル「バアルちゃん、今日は代役頼むよ!俺は逃げる!」
バアル「あ!!ちょ…べリアル様っ」

アドラメレク「うおおおおおおおおベリアル様アアアアアアアアア!!」
バアル「…まずはアドラメレクに何があったか、調べるとしましょうか」

-

アドラメレク「べリアル様!どうかこのアドラメレクにも!あなたの愛をぉぉ!!」
ベリアル「あー、予定狂った。まさかアドラメレクの化粧台だったとは」

門番A「あーオレも長いからな、もうお前がメイド服で抜いてることは咎めねぇよ」
門番B「じゃあ何でそんな不機嫌な顔をしているんだ?」
門番A「メイド服着た竜人の隣に立たされる俺の気持ちにもなれよ…俺まで変態扱いされてんじゃねぇか」

門番A「あ、陛下」
門番B「どうされましたか?そんなに急ぎで」
ベリアル「黙れ!!」
アドラメレク「べリアル様アァァァ!!」
門番A「…アドラメレク様がべリアル様を追い掛けてたな、それもすごい顔で」
門番B「それより例の店に行くんだろ?俺が警備やっとくから行ってこい」
門番A「ああ…頼むぜ」

バアル「あれはマラソンですよ」
門番B「バアル様」
バアル「ほら、悪魔王はどうも運動不足になりがちでしょう?有事に備え鍛えておかないと」
門番B「…トレーニングの邪魔なんて余計な事をした、後でべリアル様に謝罪しておかないと」
バアル「今は話し掛けない方がよいでしょうね…アドラメレクにも、ですよ」
門番B「わかりました」

アンフィス「べ、ベリアル様!どうされましたか!?」
ベリアル「アンフィス!アドラメレクを止めろ!」
アンフィス「わかりました!一体何が…」
ベリアル「聞くな!!言っとくが急所は狙うなよ!」
アドラメレク「ベリアル様ァァァ!!」

ベリアル「うわ、来やがった!頼むぞアンフィス!」
アンフィス「アドラメレク様!他ならぬベリアル様の命です、覚悟!」
アドラメレク「何ですか貴方はぁぁぁぁっ!?何かの病気ですかぁぁぁっ!!」
アンフィス「ッ…急所は、外さないと…ぐああああっ!?」
ベリアル「あ、アンフィスー!!」

ベリアル「クソ!アンフィスまでブッ倒しやがって!何て野郎だ」
アドラメレク「ベリアル様ァァ!!何故逃げるのですかぁぁぁっ!!」
ベリアル「お前が雄馬だからだ!!」
アドラメレク「男で馬なコトの、何がそんなにいけないのです!?男とも馬とも寝たことがあるのでしょう!?」
ベリアル「ある!!だが俺はされるよりする方がいいんだよ!!」

アドラメレク「そうですか!べリアル様!!そんなに嫌がるという事は…子供が出来ないからダメなんですね?!」
ベリアル「そ…そんな事は言ってない」
アドラメレク「じゃあ…このアドラメレクが、貴方との子供を産みましょう!!」
ベリアル「やめろ!!第一王子が男同士に出来たケンタウロスとか嫌だぞ俺!」
アドラメレク「それも愛の形です!私とベリアル様の尊き愛の結晶ですよ!!」
ベリアル「何が愛の結晶だ!貴様は良いだろうが、俺は絶対嫌だからな!!」
アドラメレク「うぉぉぉぉぉベリアル様ァァァ!!こうなったら死力を尽くしてでもぉぉぉ!!」
ベリアル「頭の病気かー!?貴様は!?」

‐その頃、傲慢界の一角の風俗店では…

門番A「…なんて事があったんだよ、酷くない?ユウちゃん」
ユウちゃん「あー、確かにそれは酷い!ベリアル様ってそういうとこ無神経だよね」
門番A「こっちゃ女の子一人口説くのにこんだけ労力かけてんのにさ〜、よくモノ扱いできるよな」
ユウちゃん「モテるからねベリアル様は〜、コロッといっちゃうよ」
門番A「ああ、殺っと逝っちゃうな」

門番コンビの風俗通いしてる方こと「レッドドラゴン」はいつも通っている
サキュバスやインキュバスが話を聞いてくれたり、サービスをしてくれる店、所謂ピンサロにて
一番の古株かつ、長付き合いで知られるサキュバス「ユウェン」(通称ユウちゃん)に愚痴っていた。
ユウちゃんとはそういう関係でもあるが、それ以上に腐れ縁の女友達と言う面が強く、
周りでは出番待ちのインキュバスやサキュバスが「またかよ」と言うような目を向けている。

門番A「はー…ユウちゃん位だよ、俺のつまんねー話を聞いてくれる子なんて」
ユウちゃん「私も長いからね〜、最初はウザかったけどもう慣れたよ」
門番A「ユウちゃんはここで働くよりどっかで酒場のママでもやったほうがいいよ、話もうまいし」
ユウちゃん「んー…でもここなら獲物を探す必要ないし」
門番A「あ、ああ…そうだね、ユウちゃんサキュバスだったね」
ユウちゃん「ところで外が騒がしいんだけど、何かあったの?」
門番A「外が?ああ…確かに騒がしいな」
ユウちゃん「見に行ってきなよ、門番でしょ」
門番A「そうだな〜…じゃあユウちゃん、また今度!」

門番B「…何しに来たんだお前ら」
サキュバスA「入れてください」
門番B「ダメだ、何処から入ってきた?」

パンデモニウム正門には何故か夢魔がやたらと集まっていた。
それも頭から角が生えた「上位種」ばかりで、彼らはどうしても入りたいと言うように
男女を合わせ十体ほどが集まっていた、実力自体は上位種の中でもかなり弱いが
その爆発的な繁殖力により、たった一体でも都市部を混迷に陥れる凶悪な悪魔だ。
一体でも危険なのに十体も入れるわけには行かない。
そもそも、何故色欲界にしか生息していない筈の上位種が傲慢界に?

インキュバス「仲間が呼んでいるから来た」
門番B「仲間?」
インキュバス「この先に仲間がいるんだ!つべこべ言わず入れろ」
門番B「入れないって言ってるだろ、大人しく帰…」
サキュバスA「…」
門番B「こらそこー、木の枝でピッキングしようとするな」
サキュバスB「ねぇ…鍵穴無くない?」
サキュバスA「あ、本当だ。ない」
門番B「…」

インキュバス「鍵穴がないぃ!?じゃあどうやって入るんだよ!」
サキュバスB「体当たりしたら開くんじゃない?」
インキュバス「おっ、そうか!じゃあ思いきりぶつか」
門番B「…まあいいか、開かねぇだろうし」
インキュバス「どりゃあああああ!!」

インキュバス「いてぇ…」
サキュバスB「開かないねー」
インキュバス「げっ…角にヒビが…!打ち所が悪かったかっ」
サキュバスA「んー、じゃあ隠し通路は」
門番B「ないぞー、ベリアル様の像をつつくんじゃない」

門番A「おう相棒!遅れ…なぁぁぁぁ!?」
サキュバスA「じゃあ、コイツがカギになってるの?」
インキュバス「メイド服がカギなんじゃないか?もしかしたらこれを着たら」
門番A「何しに来とんじゃバカ夢魔が!!出て行け!」

門番B「何だったんだ?あいつら」
門番A「さあな…警備、大丈夫だったか?」
門番B「慣れている、落ち着いたら陛下に話を聞こうか」

‐パンデモニウム庭園

ベリアル「ふぅー…アドラメレクがようやく動きを止めたらしいな」
庭師「ベリアル様、この為にあの植物を栽培されていたのですね!流石にございます」
ベリアル「ん?あぁ…そうとも!全ては想定の通りだ!」

正門にて門番コンビたちが集まってきていた上位夢魔たちを追い払ったころ、
パンデモニウム庭園ではベリアルがアドラメレクを「ある植物」の所まで連れ込んでいた。
その「ある植物」とは、魔力を養分とし「悪魔」を捕らえる生けるトラップだ。
普段は庭師を襲わないよう「花」に擬態させているが、動きを封じるため本来の姿と戻り、捕縛した。
アドラメレクの為に植えたわけじゃなかったんだが、こんなところで効果を発揮するとは。
無数の蔓に絡めとられたアドラメレクは酷くぐったりした様子で、ただ走り疲れただけには見えなかった。

庭師「ベリアル様、アドラメレク様は何ゆえこのような事を?」
ベリアル「誤って上位夢魔の角を煎じ飲んでしまったらしい、いや全く…手を焼かせる」
庭師「その様なことが、では…後の事は私共にお任せください」
ベリアル「ああ」

ベリアル「魔力を放出し、夢魔を呼び寄せる力まで持つ…か、多用は禁物だな」



ベリアル「アンフィス大丈夫か?思いきり頭をぶつけたっぽいが」
アンフィス「少し目眩がする位です、問題ありません」
ベリアル「あーあ…上手く行きそうだったのに」
バアル「何がですか?」
ベリアル「げっ」

バアル「ベリアル様、貴方が走り回っている間に全て調べさせていただきましたよ。棚も全て」
ベリアル「た…棚〜?何のことかな?」
バアル「悪知恵だけはよく働きますね、また処分されたいんですか」
ベリアル「や、やめてくれよ〜、あれ集め直すの大変なんだよぉ。わかるだろ!?」
バアル「ひとを貶めるのにかける苦労なんて、労わりたくもありません」

ベリアル「ひ、ひどいよ…」
バアル「何が酷いですか、殴りますよ」
ベリアル「もういい!捨てていいよ!!でも俺の部屋のは残してくれない!?ねっ!?」
バアル「ダメです」
ベリアル「あぁん…そんな、ひどい…」
アンフィス「…」
バアル「アンフィス、陛下はこのように扱うのです。甘やかしてはいけませんよ」
アンフィス「…御意にございます」

アドラメレク「おぉ、ベリアル様…落ち込んでいる姿もまた美しい…」
ベリアル「もうお前チャームとか必要ない気がしてきた」
アドラメレク「ええ勿論!私は心より貴方へ敬愛を抱いているのですから!」
ベリアル「うん…もういい、喋るな、顔近づけるな」

追伸・バアルさんのたゆまぬ努力により、パンデモニウム中の棚からベリアルの私物が廃棄された。

 

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